全国学力テストがあった直後ですが、 国語力の大切さというものを あらためて 感じています
小学6年生の国語の教科書の内容に関する問題です
(本文)
「お父さんも手伝うから。 で、 何を作るんだ。」
答えは、 今度も、 考えるより先に出た。
「カレー。」
「だって、 おまえ、 カレーって、 ゆうべもおとといもー。」
「でもカレーなの。 いいからカレーなの。絶対にカレーなの。」
子供みたいに大きな声で言い張った。
ほっぺたが急に熱くなった。
「じゃあ、カレーでいいか。」
お父さんは笑って、 台所の戸棚を開けた。
「おととい買ってきたルウが残ってるから、 それ使えよ。」
戸棚から取り出したのは、 ー甘口。 お子様むけの、うんと甘いやつ。 お母さんが、
「ひろしはこっちね。」
と、 ぼくの分だけ別のなべでカレーを作っていた低学年のころは、 ルウはいつもこれだった。
「だめだよ、こんなのじゃ。」
ぼくは戸棚の別の場所から、 お母さんが買い置きしているルウをだした。
まず一問目です。
「ゆうべもおとといもー」の「ー」には、 どんな言葉が入りますか。 文章中の言葉を使い、 お父さんの言葉で、 十字以上十五字以内で答えましょう。
設問のポイントの一つは、 「お父さんの言葉で」とあります。 そして十字以上十五字以内という条件があります。
このような問題の場合、 設問の意図をきちんと理解して その意図に沿って答えないといけません。
日頃の生活感も問われるところです。
正解は、 「ゆうべもおとといもカレーだったじゃないか。」「ゆうべもおとといもカレーを食べたじゃないか。」 ぐらいが望ましい答えです。
しかし この問いに なかなか 考え込んで答えられない生徒さんがいます
場面の状況を把握できない、 想像できない、 お父さんの言葉って どんな言葉だろう?と頭の中が固まってしまっているようです
第二問目です。
「こんなのじゃ。」の「こんなの」とは、 何を指していますか。
正解は、 「甘口のルウ」 です。
しかし 皆さんの回答は、 「甘口のカレー」 「低学年の」 「カレー」というものが 多数見られます
問題は、 「こんな」が指す いわゆる指示語の内容を問うているのです。
中学校になってもよく出題される問題です。
「こんな」が指す内容は、 問題をよく読めば、 「ルウ」だということが わかります。 どんな「ルウ」かと言えば、 物語の流れから お父さんが差し出した 「甘口」だと わかります。
合わせて 「甘口のルウ」と書くのが正解です。
しかし 生徒さんは、 書いてあることをしっかり読んでいないので、 内容を捉えていません。 なんとなくイメージで「カレー」と答えたり、 直前に書いてある「低学年の」という言葉にとらわれた解答をします。
「文章を読む」ということは、 筋をきちんと追い、 内容を捉えることです。
よく読解といいますが、 読み解くことが 問題を解くにあたって 必要です。
国語の基本は、 書いてあることを読むことです。
想像力や 文章を作ることは、 二番目です。 まず書いてあることを正確に 読み解くことが 一番大事です。
書いてあることの流れや筋道を追う訓練は、 集中力を要します。 何回読んでも 字面だけを追っている生徒さんは、 正解に結びつきません
これは 訓練です。
小学校の低学年で 読解が苦手だったある生徒さんが、 小6になって やっと物語を追えるようになってきました
わからないままで過ごしていたら、 どうなっていたでしょうか?
中学校に入って 苦労するのは、 目に見えています。
小学生の国語は、 他の勉強の基礎になります。
小学校の白いテストでは、 このような訓練を要する問題は 少ないかもしれません。 しかし 訓練は、 必ず中学校以降に実を結びます。
小学生から 育んで欲しい能力が 国語の力だと 実感しています