ニュースを見て 絶句しました。
大好きな絵本作家さんの訃報に接し、 涙しました。
絵本作家さんの名前は、 佐野洋子さん。
読まれた方もいらっしゃると思いますが、 「100万回生きたねこ」という作品が代表作です。
「100万回生きたねこ」は、 文字通りある「ねこ」が100万回 生き返るのです。
そして最後に 「ねこ」は、 安らかな死を迎えます。
安らかな死を迎えることができたのは、 彼を見守ってくれる「白いねこ」が現れたからです。
100万回生きたねこは、 黙って自分のそばにいてくれる「白いねこ」の存在で 心の平安を得ます。
そして 子供が生まれ、 「白いねこ」と幸せに暮らすのですが、 伴侶となった「白いねこ」は、 ある日死んでしまいます。
99万9999回生き返ったときに、 ねこは 悲しみというものを知りませんでした。 「白いねこ」が亡くなった時に、 初めて泣きます。
そして「白いねこ」を抱きかかえたまま、 涙が枯れるまで泣きつくし 自分も 天国へ旅立ちます。
そしてねこは、 二度と生まれ変わりませんでした。
これは、 単に子供向けの童話というより 人の心理を突いています。
大変奥深い内容です。
ねこがなぜ100万回生まれ変わったのか?それは、 心が満たされていなかったからです。
いつもいじめられたり、 いやな感情を抱いて、 ねこは満足することがなかったのです。
でも「白いねこ」は、 どんなに ねこが自慢をしたり 注意を引くようなことをしても「そう」とほめもせず、 けなすこともなく、 ただ ねこが あるがままを受け入れたのです。
「白い」というのは、 「心が真っ白」ということをかけていると私は思っています。 「心が真っ白」ということは、 偏見がなく、 素直で、 無垢であるということを意味していると思います。
人は、 自分をあるがままに受け入れてもらったとき、 初めて自分も心を開いていきます。 (心理学でいう自己開示)
心を開いていくと 自分を肯定することができるようになっていきます。
さながら 「白いねこ」は、 「ねこ」のカウンセラーの役割を果たしたのだと思うのです。
自己肯定ができるように、 心が満たされて 自分を生きることができるのです。
初めて この物語を読んだとき、 年甲斐もなく 号泣しました。
よく「自分を生きる」とか「自分らしく生きる」と言いますが、 若いときは その意味がわかりませんでした。
「自分って何だろう?」「自分らしいって どういうこと?」こんな漠然とした疑問に 悶々とした覚えがあります。
そして カウンセリングを勉強し始めたとき、 自分がなんて傲慢で イヤな奴なんだろうと 思いました。
「心を素にする」「心を真っ白にする」生きてきた分だけよどんでしまった自分の心を まっさらにすることが、 まず自分を生きる第一歩だと思いました。
カウンセリングの勉強を進めるうちに 自分はよどんでしまった心を持っていても、 それは自分が生きてきた証、そしてそれは財産なんだと自分を肯定的に捉えることができるようになってきました。
自分の力や能力は、 大したものではないけれども、 できない分は、努力すればいいだけ! そう思えた時、 心が軽くなりました。
虚心坦懐 何物も恐れず、 あるがままの自分でいいと思えることほど、 自分らしく生きていける道はありません。
そのことを この童話は、 「白いねこ」を通して 私たちに教えてくれています。
素晴らしい作品です。
もし 読んだことがない方は、 ぜひ手に取ってください。
もちろん 私が 「白いねこ」を「あいちゃん」と重ねたことは、 言うまでもありません。
「あいちゃん」に向かって 私は 毎日問いかけています。 これは、 私にとって「癒し」でもありますが、 「振り返り」でもあります。
1日 が満足いくものであったか? 今日は 自分を 生きたか? 寝る前に「あいちゃん」を通して私自身に 投げかけているのです。
そんなことを 思うようになったのは、 「100万回生きたねこ」のおかげです。
佐野 洋子さんのご冥福を心からお祈りします。
河竹会ブログ