12月第2週になりました。 今年を振り返る時期ですね?
毎年 清水寺の貫主さまが 世相を表す一文字を書かれますが、 今年はどういう文字でしょうか?
私は、 「偽」という文字が 横行した一年だったと思っています。
偽装という言葉は、 設計に始まり 今年は食品が 取りざたされました。 食べるものは、 人間の根幹を成すものですから憤りにつながるのは、 無理もない話です。
偽ってはいないものの、 経済的利益のみを考えて 多量な農薬や 有害な塗料を 子供のおもちゃに使っている 中国の姿勢も 許しがたいものがあります。
しかし 偽った生産者側に責任があるのは 当然ですが、 生産者側だけを責める気持ちにはなれないような気がします。
日本は、 長い経済的低迷時期をくぐり抜けましたが、 その間 物が売れない時代続きました。 生産者や店舗が悲鳴を上げ、 倒産や閉店を余儀なくされたことは、 周知の通りです。
コスト削減・経営努力という言葉は、 言い尽くされた感があります。 そこで 出てきたのが、 「偽装」という手段です。
中国も 貧しさから抜け出し、 豊かさを謳歌したいという、 人であれば 当然持ってあるべき欲求でしょう。
だからと言って、 人間を無視するような 物づくりは、 タブーです。
本物と誠意が 大事です。
私達 消費者も 本物を見抜く眼力が問われているような気がします。 安さばかりを追い求める姿勢にも、 偽装に走らせる要因につながったかもしれません。
私は、 祖母から 「安物買いの銭失い」をしないように!と よく言われました。 安さの裏側に何かあると 疑うべきだとも言われました。
本当にいいものは、 コストがかかっています。 時間がかかっています。 確かなものは、 心から満足がいくものです。
安くて よいものを 求めたいのが、 人間の心理ですが、 安さに目がくらむようでは、 人間としての価値を疑われます。
節約できる部分や 物を大切に使う心は、 大事です。 しかし あればいい、 食べられればいいという さもしい心は、 忌むべきものだと 思います。
そして どんな ブランドやネームバリュにも ふらつかない審美眼をもつことが、 大事です。
今年は、 「偽装」という言葉が、 連続してニュースや新聞紙面を賑わせましたが、 私達自身 自分の心が偽りの心や体質になっていないか? 私は、 思い返しています。