読書シリーズ第3弾! なんて大げさですね~
今日取り上げたいのは、 孫正義伝「あんぽん」
ちょっと ボリュームある本ですが、 読み応えがあります。
一見 あの ソフトバンク会長の孫正義 氏の人物伝と 思える著書ですが、 実はそうではなく 彼の出自やバックグラウンドにフォーカスされた内容です。
孫氏は、 名前からわかるように 日本人ではありません。 日本国籍を持っていますが、 在日3世です。 もっとさかのぼれば、 中国から韓国に渡ってきたのが、 孫氏の祖先です。
「在日」という言葉は、 あまり使われなくなってしまった昨今かもしれません。 むしろ 「韓流」という言葉で象徴されるように、 韓国が憧れだったり、 親しみをもって接しているのが今の日本国民です。
しかし かつて 日本が韓国を併合し、 皇民化政策を実施し、 無理やり日本語を覚えさせ、 日本を崇拝させ、 韓国の人々を下に見ていた時代がありました。
日本が 第二次世界大戦に負けた後ですら、 韓国朝鮮を差別する文化が日本には歴然とありました。 その中から 這い上がって、 九州一のパチンコ産業を打ち立てたのが、 孫正義氏の父です。
ブタの飼育と密造酒で生計をたてていた在日の悲惨な生活、 差別による怒りと背中合わせのハングリー精神に支えられたこそ今の 孫正義氏がいるのだと 思いました。
どちらかというと ハングリー精神は、 正義氏より 父の方かな?と本を読んでて思いました。
しかし 正義氏も 数限りない差別とバッシングを受けてきています。
日本人の心の狭さをー言い換えれば愛国心ーを感じないではないですが、 当時の日本の人々の価値観は、 無理からぬことだったのだと思います。
どん底から這い上がって 日本一の富豪になる壮絶なバックヤードは、 読んでいて なるほどと思える部分が多々ありました。 孫氏の先見の明やスピード感は、 生まれもってDNAに組み込まれているのかもしれません。
ワタクシゴトですが、 私の祖母宅の隣に在日の方がかつて住まわれていました。
今では とても信じられないような話を 私は実際に 母から聞いたことがあります。 やはり そ のお宅も 差別を受けていたらしいのです。 しかし 祖母は、 遠い国から来ているのだから・・・と言って ずいぶん親切にしてあげていたそうです。 お 隣の方は、 祖母にはとても感謝していたという話を聞いたことがあります。
この本の中に書いてあることは、 母から聞いた話と ダブル部分が かなりあります。 舞台が九州だから 余計に 共感する部分があるのかもしれません。
いわゆる孫正義伝とは、 少しニュアンスが違う描き方をしていると思います。
読み終わって 「孫さんて すごいなあ~ 偉いなあ~」なんて 薄っぺらい感想は 抱きません。
ボリューム以上に 重厚な内容だと思います。
お時間のあるときに どうぞ~
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